デジタル教科書のデメリット、メリットまとめ!教科書デジタル化の普及の現状【教育ニュース】
今朝のニュースで平井卓也デジタル改革担当相が小中学校で使う教科書を原則デジタル化するべきであるとの考えを示したと出ていました。
過去20年どれだけコンピューター、IT分野が発達したかを考えると教科書のデジタル化は出てきて当然の論議だと思います。
しかし、紙の教科書からデジタル教科書に変更した場合どのようなメリットがあるのでしょうか。
さらに、当然デメリットも考えられます。
このメリット、デメリットというのは何かを新しく始める場合は必ずでてくる問題です。
メリットとデメリットを上げるだけなら簡単。
教師としては、そのメリットとデメリットを理解した上でどのように利用していくのか、何に気を付けないといけないのかを考えて最大限に有効利用していく必要があります。
今回は、デジタル教科書の現状、そして考えられるメリット、デメリットさらにそれを踏まえて教師が考えないといけないことを私なりに考えてみたいと思います。
また、これからデジタル教科書を利用していかないといけない教師の皆さんには大きな不安があるかと思います。
最初はどの先生も抱くICT教育にまつわる「10の不安」を三重県松阪市立三雲中学校での実践例を具体的に解説して、どのようにICTを活用していったかを紹介している書籍『無理なくできる 学校のICT活用―タブレット・電子黒板・デジタル教科書などを使ったアクティブ・ラーニング』などの書籍から実践例を学ぶ事が可能です。
授業での活用例がたくさん紹介されており、自分の授業で参考になる活動が見つかります。
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1.指導者用、学習者用デジタル教科書の現状、普及率
2.教科書のデジタル化、デジタル教科書のメリット
3.教科書のデジタル化、デジタル教科書のデメリット
4.教科書のデジタル化のメリット、デメリットを踏まえて
5.最後に:デジタル教科書のデメリットを踏まえて対策を
指導者用、学習者用デジタル教科書の現状、普及率
昨年末に一般社団法人教科書協会が発行した文部科学省「外国人児童生徒における教科用図書の使用上の困難の軽減に関する検討会議」第3回学習者用デジタル教科書の現状と課題にデジタル教科書の普及率などが非常にわかりやすく掲載されていました。
まずはそれをご覧ください。
指導者用デジタル教科書(教材)の普及率

(引用:第3回学習者用デジタル教科書の現状と課題;教科書協会)
小学校と中学校はほぼ同じような曲線を描きながら、現在は中学校が61.4%と56.6%の小学校よりも5%程度普及しているのが現状のようです。
ここで目を引くのが高等学校の現状ではないでしょうか。
小学校、中学校では60%程度普及しているのに対して、高等学校はいまだに20%以下となっています。
ちなみに、文部科学省が公開している資料によると高等学校が28%、専門学科、総合学科等の設置校は24.5%になっています。
以下の統計をご覧ください。

(引用:学校における教育の情報化の実態等に関する調査 / 令和元年度 調査結果(速報値))
都道府県別のデジタル教科書の整備率
平成29年3月1日の調査結果では、次の様になっています。
都道府県別デジタル教科書の整備率トップ5
佐賀県 98.7%
石川県 83.1%
沖縄県 80.3%
徳島県 73.9%
熊本県 73.0%
都道府県別デジタル教科書の設備率ワースト5
北海道 16.5%
島根県 25.9%
鳥取県 26.6%
岩手県 27.8%
青森県 29.4%
都道府県別にみてもかなりの違いがあることが見て取れます。
学習者用デジタル教材の普及率
指導者用のデジタル教科書の普及率は60%程度になっていますが、今回平井卓也デジタル改革担当相が示した考えは学習者用のもので、児童が使用する教科書をデジタル化しようというものです。
そこで学習者用デジタル教材の整備状況を見てみるとかなり低いことが見て取れます。
小学校 8.1%
中学校 9.5%
高等学校 5.2%
となっています。
かなり低い状況であることが見てわかります。
ちなみに学習者用デジタル教科書の発行率をグラフで見ると次のようになっています。
学習者用デジタル教科書の発行比率:小学校

(引用:第3回学習者用デジタル教科書の現状と課題;教科書協会)
小学校向けのデジタル教科書ではありますが、出版社は94%の教科書で発行しています。
あとは学校が導入するかどうかという状況になっています。
以上がデジタル教科書の現在の普及率整備率についてでした。
先日石川県の小学校でデジタル教科書を利用した授業の公開授業が行われました。
その時の様子を『朝日町で行われた公開授業を基に学習者向けデジタル教科書導入に向けての課題をと考える』でまとめていますのでそちらも合わせてご覧ください。
朝日町で行われた公開授業を基に学習者向けデジタル教科書導入に向けての課題をと考える
昨日のニュースに以前も記事にしたデジタル教科書についてのものがありました。今回のニュースは富山県の朝日町の小学校でデジタル教科書の実証実験をしているところがあり、その効果・影響の実証研究の一環として授業が公開され、文部科学省の担当者等が授業視察をしたというものでした...
それでは、次に教科書をデジタル化する事でのメリットとデメリットを見ていきたいと思います。
教科書のデジタル化、デジタル教科書のメリット
教科書のデジタル化、デジタル教科書を使用した場合のメリット、利点をまとめてみました。
これを考えるときは共通する項目もありますが、教師側からの利点、生徒、児童側からの利点に分けて考えてみる必要があります。
教師、指導者側から見たデジタル教科書のメリット
選択、拡大、書き込みなどができる
教科書のとくていの部分を選択し拡大したり、補足説明などを教科書に書き込むことができるのでわかりやすい授業ができます。さらにハイライトや色を変えた利することで視覚的にも分かりやすい授業ができます。学年や教科を超えた総合的な学習が可能になる
インターネットは事前に準備しておいた資料などを簡単に表示できるために、総合的な学習が可能になります。児童の視線と集めることができる
特に紙の教科書や黒板板書に慣れている子ども達にとって、デジタル教科書は新鮮で子ども達の視線を集めることができます。慣れてきてからも、色々な資料や映像などの教材を利用する事で引き続き子ども達の学習への興味を引くことができます。保存ができる
これまでは黒板に板書すると次の時間に再び板書しないといけない事がありましたが、書き込んだものまで保存ができるので授業の振り返りや、復習が簡単にできるようになります。すぐに調べることができる
インターネットなどを使って、子ども達の疑問が解決できなかった時などすぐに調べる事ができます。時間がたつと忘れてしまう事もありますが、デジタル教科書を利用すると疑問をすぐに解決できます。児童一人一人の学習状況を正確に把握できる
これまでは、学習ノートをチェックしたり、いろいろな学童を記録していく必要がありましたが、デジタル教科書を使うと児童一人一人の学習状況、どこの問題で間違えたかなどシステムがすべて把握してくれているので、教師はすぐにチェックでき、その児童にあった指導が可能になります。情報を簡単に共有できる
生徒一人一人の学習状況など色々な情報を学校の職員間、地域の学校間、または教育委員会、文部科学省などと簡単に共有する事ができます。これまでは自分で色々と資料を作る必要がありましたが、その時間を短縮する事ができます。学習障害のある子どもへも対応した指導ができる
これまで指導が難しかった学習障害がある子ども達へも、音声を利用したり、画像を利用したり工夫しながらその児童が理解できるような授業が可能になります。情報伝達型の授業から生徒主体の学習アクティブ、ディープラーニングへ
デジタル教科書を利用する事で子ども達が疑問に思った事を簡単に自分で調べて答えを見つけ出すことができます。黒板に書かれたことをノートに書き写す情報伝達型の授業から自動主体の授業が可能になります。デジタル教科書を利用する事での最大の魅力は、これまで膨大な時間がかかっていた教材準備等の時間が減る事、子ども一人一人の学習状況の把握が簡単になり個別指導が行いやすくなる事ではないでしょうか。
児童、学習者側から見たデジタル教科書のメリット
児童、学習者側から見たデジタル教材のメリットは教師側から見たメリットと共通するものもあります
児童一人一人に合わせてカスタマイズできる
それぞれの学習状況をすべて把握してくれているので、それぞれに合ったスピードで、そして教材で学習していく事が可能になります。これは学習障害のある児童にとっても同じです。関心、意欲を高める
インターラクティヴな教材などで児童の関心、学習への意欲を高めてくれます。楽しい
これまでの紙の教科書よりもより興味を引く教材などを利用できるので子ども達も授業を楽しいと感じてくれます。音声や、画像を使って学習できる
英語の発音やビデオ教材などを使う事によりより効果的に学習が可能になります。ほかのデジタル教材との一緒に学習できる
デジタル教科書だけでなく他のデジタル教材も使い幅広く学習する事ができます。教科書の持ち運びがなくなる
これまで重たい教科書を背負って毎日投稿していたのが、それをしなくなるので体への負担が軽くなります。
児童から見たメリットは、自分のスピードで自分のやり方で学習をしていく事が可能になる事、映像や音声などを利用する事でより授業を理解できるようになる事でしょうか。
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デジタル教科書デメリットまとめ
教科書のデジタル化によるデメリットはなんでしょうか。
ここでも教師側からと、児童側から見てみたいとおもいます。
教師、指導者側から見たデジタル教科書のデメリット
システムやソフトのアップデートやセキュリティー管理をする必要がある
紙の教科書は配布したらそれだけで教師の役割は終わりです。しかしデジタル教科書は毎年アップデートしたり、個人情報の管理などセキュリティー管理をする必要があります。これらの作業が教師の仕事をさらに増やし、教師の多忙化が進む可能性があります。環境を整備する必要がある
これは教師だけでなく、学校であったり、自治体の仕事になるのですが始めるための準備に膨大な時間と経費が掛かります。さらに、定期的なメンテナンス等も必要になります。デジタル教科書やその周辺機器への知識が必要になる
どんなことでも新しく始めるにはそれ相応の学習が必要になります。デジタル教科書を使いこなすための勉強などを新たにする必要がでてきます。特に年配の教師が日本には多いのでここで大きな壁ができてしまう可能性があります。
児童、学習者側から見たデジタル教科書のデメリット
目が疲れる
長時間のテレビや、ゲームが好ましくない事を考えると教科書をデジタル化する事による児童の目への負担は相当なものになることが考えられます。壊れたら使えない
教科書がデジタル化すると、そのタブレットやパソコンを持ち運ぶことになります。小学生は鞄を投げたりすると思いますし、うっかり落としてしまう事もあります。水などがかかってしまったりアクシデントで壊れてしまう事が考えられます。壊れてしまうともう使えないのはとても大きなデメリットです。壊れた場合誰が保証するのか、修理している間の期間はどうするのか、色々な問題が出てくることが考えられます。使うための知識が必要
子ども達なのであっという間に学習してしまうと思いますが、使いこなすためにはそれなりの知識が必要になります。使い方がわからなければ教科書を読む事すらできない事になります教師による影響を受けやすい
担任や、担当の教師のデジタル教科書の利用方法の知識の差が授業質に影響してきます。そして、その影響を一番大きく受けるのが子ども達です。考える力が付かない、漢字を使わなくなる
困ったらすぐ検索する。という風になる可能性があります。これが悪いのかと言ったら賛否両論あると思いますが、自分で考えたりする力を育てるための障害になる可能性もあります。そして、私たちもそうですが、漢字を使わなくなり漢字習得が難しくなることが考えられます遊び道具になってしまう可能性がある
子どもなので、タブレットやパソコンを学習用の教具ではなくゲームやYoutubeのビデオを見たりと別の物に使うようになってしまう可能性があります。その辺りの管理も家庭を含めて難しくなると思われます。デジタルコンテンツが子ども達に与える悪影響について書かれている『スマホ脳(アンデシュ・ハンセン)
』もデジタル教科書のデメリットを考える上で参考になります。
スティーブ・ジョブズを筆頭に、IT業界のトップは自分の子にデジタル・デバイスを与えなかったそうです。
どうして、スティーブ・ジョブズは自分の子どもにスマホを14歳までの与えなかったのか。
睡眠障害、うつ、記憶力や集中力、学力の低下、依存などスマホを長時間利用する事で起きる健康被害について書かれています。
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教科書のデジタル化のメリット、デメリットを踏まえて
さて、教科書のデジタル化を行う事に対して考えられる、メリットとデメリットを考えてきました。
教師として一番大切なのはこれが分かったうえでどうするのかという事です。
メリットについては簡単です。
教師が努力して最大限デジタル化の恩恵を受けれるように教材を理解し、授業内で有効的に利用する事です。
特に教師が受ける恩恵は大きなものがあると考えられます。
より興味を持ってもらえるような授業が可能になり、子ども達の一人一人のデータの管理が簡単になるのでメリットが大きいです。
ではデメリットをどうするかです。
どんなものにもメリットデメリットはあります。
デメリットを以下に防ぐか、最小限にするかは私たち教師の力量にかかっています。
当然、莫大な作業が必要になってしまう可能性もあります。
教師のデメリットは、教師個人ではなく学校が地域が協力して行っていく事で負担が減っていきます。
外部に設備やその管理等を委託する事も考えられます。
当然予算を自治体には出していただく必要があります。
児童が受けるデメリットについては教師や保護者等の大人が教えていく必要があります。
私たち大人がどう教えていくかによってこのデジタル化で子ども達が受けるメリットはかなり大きくなり、デメリットを小さくすることができると感じます。
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最後に:デジタル教科書のデメリットを踏まえて対策を
最後に、教科書だけでなくデジタル化というものは避けては通れないと考えています。
考えられるメリットはかなり大きいです。
しかし、使う私たちの知識によってこの効果は大きくも、小さくもなってしまう事がわかります。
そして、効果を最大限にするためには教師が機器を使いこなすところか始まり多くの時間をかけて学習する事が必要になります。
これは、教師間で助け合い、学校全体として助け合い、自治体が学校のニーズにこたえていく事で最低限に抑えていくしかないと思います。
今後も国全体としてよく話し合い、対策を練って教科書のデジタル化を進めていってもらいたいです。
2020年12月20日新たにデジタル教科書の利用時間についての制限を撤廃するというニュースが出てきました。
こちらのニュースについても『デジタル教科書の使用時間制限撤廃によるメリット、デメリットと今後の課題を考察!』でまとめていますので参考にしてみてください。
デジタル教科書の使用時間制限撤廃によるメリット、デメリットと今後の課題を考察!
昨日のニュースに”デジタル教科書の使用時間制限撤廃を決定した”というものがありました。あまり詳しくない方のために補足をすると、現在、文部科学省が筆頭に討論しているのは”学習者用のデジタル教科書導入にあたっての課題”です。つまり、子ども達が実際に机の上で触って学習する教科書をデジタル教科書にしようという動きです...
さらに、2022年度より35人学級が小学校に段階的に移行していく事や、小学校の5,6年生を教科担任制にしようとする動きも出てきています。
これらについては以下のページを参考にしてください。
『公立小学校35人学級へ移行決定に見る少人数学級のメリットと今後の課題!諸外国との比較』
『2022年度から小学校5・6年生に教科担任制が本格導入されたら学校現場は助かるのか』
それでは、今日もよい一日をお過ごしください。
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